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最判平成26年3月14日金判1447号22頁

事案の概要

  1. 平成19年1月1日、A男は、自宅で「私A名義のすべての財産は、長男Yに相続させる。」とする自筆証書遺言を作成した。Aは、同じ内容の遺言を毎年元旦に作成していた。
  2. 平成20年10月22日、Aが死亡した。Aの法定相続人は、妻X、長男Y、そのほかに子B、C、D、Eである。
  3. 同年8月5日、BとCがXについて後見開始の申し立てを行い、平成22年4月27日、Xについて後見が開始し、Zが成年後見人に選任された。
  4. 平成22年4月29日、成年後見人Zが、Yに対して、遺留分減殺請求権を行使した。
  5. これに対して、Yは、平成21年10月22日の経過をもって、遺留分減殺請求権の消滅時効が完成したと主張した。

最高裁の判断

民法158条1項は、時効期間の満了前6ヶ月以内に未成年者又は成年後見人に法定代理人がないときは、法定代理人が就職した時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は完成しない旨を規定している。

その趣旨は、成年後見人等が法定代理人を有しない場合には、時効中断の措置を執ることができないのであるから、法定代理人を有しない場合にもかかわらず、時効の完成を認めることは成年後見人等に酷であるので、これを保護するところにある。

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるものの、未だ後見開始の審判を受けていない者は、民法158条1項にいう成年被後見人には該当しないが、法定代理人を有しない場合には時効中断の措置を執ることができないのだから、成年被後見人と同様に保護する必要性が存在する。

 よって、時効期間の満了前6ヶ月以内の間に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者に、法定代理人がない場合において、時効の期間の満了前の申立ての基づき後見開始の審判がなされたときは、民法158条1項の類推適用により、法定代理人が就任した時から6ヶ月を経過するまでの間は、その者に対して、時効は完成しないと解するのが相当である。

実務上の注意点

この判決によって、成年後見人の職務内容に、「時効の停止」が加わったと言える。

成年後見人に就任時に、すでに時効が完成していたとしても、時効の停止が適用されれば時効中断の措置を講じることができるか否か調査する義務があることとなった。

仮にこれを怠れば、成年後見人は善管注意義務違反の責めを問われ、損害賠償義務を負うこととなる可能性がある。

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